チル=イズム

人生を上手にナスがままにマメに自分らしく生きる

コラム 〜 引き出しの底に眠るタイムカプセル 〜

机の引き出しを開けるたびに、僕はいつも少しだけ時間旅行をしている気分になる。そこには古い映画の半券や、壊れたキーホルダー、もう使わないUSBメモリが眠っている。それらは、何の役にも立たないくせに捨てる気になれない。

「今は使わないけど、もしかしたらいつか必要になるかもしれない」という漠然とした未来のために、彼らは引き出しの底でじっと時を待っている。

その「いつか」は決して来ないことを、僕は知っている。それでも引き出しを開けたとき、手に取ったモノたちが過去の思い出をよみがえらせる瞬間は悪くない。

古びたペンを握ると「あの時、このペンで何を書いてたっけ?」と、頭の中にモノクロームの記憶が広がる。それは人生のタイムカプセル——忘れていたはずの瞬間を、小さなモノが鮮やかに呼び戻す。

捨てられないモノたちは、僕の人生の断片そのものだ。引き出しの中のガラクタたちは、僕に「あなたはこんなことを大切にしてたんだよ」と教えてくれる。たとえ二度と使わなくても、それらは僕が辿ってきた日々を形にした証拠品であり、捨てることはできない。きっと引き出しの中身がすべて消える日は、僕の記憶がゼロになる日なのだろう。

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